猟師はどんな道具を使って狩猟するの? 様々な捕獲方法を紹介します。

皆さんは、猟師と聞くとどんな姿をイメージされるでしょうか。オレンジのベストとキャップをかぶり、猟銃を持った男性の姿を想像されている人がほとんどかもしれません。

インターネットで見かけるハンターや、昔話に出てくる猟師さんの描写などは、ほとんどが男性で猟銃を手に持っています。ですが、実際は猟銃だけではなく、様々な道具を使用するなど、他の捕獲方法で狩猟されている方も多く存在しています。

今回の記事では捕獲の種類と方法、その捕獲方法に向いている動物の種類などを解説していきます。

目次

猟具を使用して捕獲する

猟具とは、鳥獣を捕獲するために使用する道具のことをいいます。使用できる猟具は法律によって定められており、使用する猟具の種類に応じて以下の4種類に分けられます。

  1. 網(種類の限定あり)
  2. わな(種類の限定あり)
  3. 装薬銃
  4. 空気銃

これらの猟具を使って狩猟をするには、狩猟免許の取得が必須となります。余談ですが、たまにテレビや書籍などで矢やトラばさみなどを使って捕獲する描写がありますが、これらの道具は現在の法律では使用が禁止されています。決して真似をしないようにしてくださいね。

捕獲方法その1 網猟

まずは網を使用した捕獲方法からご紹介します。網猟は、糸などで編まれたものを獲物に被せて捕獲します。主に「鳥の捕獲」を対象とした猟具となります。

使用できる網の猟具は、次の4種類になります。

①むそう網(穂打ち、片むそう、双むそう、袖むそう)

むそう網とは、鳥がおとりや撒餌に誘われて地面に降りたときに、離れたところから地面に伏せておいた網をロープ等で操作することにより、鳥にかぶせて捕獲する網のことです。昔話などで子どもたちが小さな鳥を捕まえるために、籠を木の枝で支えて、飛んできたタイミングを見計らって枝をひもで引っ張り捕まえていますが、それと同じ方法です。

②はり網(うさぎ網、谷切網、袋網)

はり網はむそう網と違い、地上ではなく木に括りつけて空中や空間に網を張り、飛んでいる鳥や走ってくるウサギなどを捕獲する方法です。はり網は常に人が操作できるようにしておかなければなならず、張りっぱなしは禁止されています。ただし、ノウサギやユキウサギを捕獲する目的で設置したはり網に関しては張りっぱなしでも良いとされているので、覚えておきましょう。

③つき網

つき網は長い柄のついた網を手で持ち、草むらなどに隠れている鳥に被せて捕獲する方法です。虫取り網の形状によく似ているのが特徴です。

④なげ網

なげ網は柄のついた網を飛んでくる鳥に向かって投げ上げて捕獲する網です。カモなどが山の尾根や峠を飛び越すときに低く飛ぶ習性を利用した捕獲方法です。

このように、網猟は主に鳥の捕獲を目的とした捕獲方法です。捕まえたい鳥の習性をよく理解し、最適な猟具を利用することが捕獲成功の鍵となります。

捕獲方法その2 わな猟

続いてはわな猟です。わな猟は狩猟者の中で最も登録者数が多い狩猟方法です。狩猟免許のほかに警察からの許可も必要になる銃猟とは違い、狩猟免許を取得し道具さえそろえればすぐに始められるハードルの低さも人気のひとつかもしれません。

そして網猟と同様、わな猟にも種類があります。

①くくりわな

くくりわなは、わな猟の中でも最もメジャーな猟具です。ワイヤーなどを使って作成した輪を山中のけもの道などに仕掛けて、そこへ踏み込んだ獲物の足をくくり捕獲する方法です。

くくりわなで捕獲する動物は一般的にはシカやイノシシを目的としており、ツキノワグマやヒグマはくくりわなを含むすべてのわなで捕獲することが禁止されています。

その理由として、わなは基本的に生きたまま捕獲することになります。ただでさえ力が強く獰猛な熊が誤ってわなにかかると、さらに興奮し大変危険です。また力の強い熊は、かかったわなを破壊する恐れもあるため、安易に近づくことができないのです。そのような錯誤捕獲を防ぐため、大きな動物がかからないように輪の直径は12センチ以下、ワイヤーロープも4ミリ以上の太さを使用しなければならないといったルールがあります。

②はこわな

はこわなは、箱の中に餌を仕込んでおき、釣られて入ってきた獲物が蹴り糸に触れると入口が閉まり、捕獲することができる猟具です。

③はこおとし

はこおとしは、箱の中に獲物が入ると重りを載せた天井が落下し、獲物の動きを止めて捕獲する猟具です。ただし、圧迫しすぎて獲物が窒息してしまうような構造のものは禁止されています。天井がある程度のところで止まるように「さん」をつけて、獲物を圧殺しないような構造のものしか使用できないので注意しましょう。

④囲いわな

囲いわなは、はこわなと同様に餌を仕込んで置き、入ってきた獲物が餌をくわえたり蹴り糸に触れると、自動的に入口が閉まり捕獲する猟具です。小動物を捕獲するはこわなと違い、シカやイノシシの捕獲を目的とした猟具であるため、サイズも大きくなります。一度に捕獲できる頭数も、数頭捕獲できるものから、フェンスなどを用いて囲いをつくることで、十頭以上捕獲できるものまであります。

捕獲方法その3 銃器

銃器は大きく分けて装薬銃と空気銃に分類でき、装薬銃(散弾銃、ライフル銃)と空気銃の総称です。

①装薬銃

装薬銃とは、火薬を用いて弾丸を発射する銃器の総称であり、散弾銃とライフル銃に大別されます。散弾銃はショットガンとも呼ばれ、弾薬が一発(スラッグ弾、サボット弾)のものから複数量の弾粒が詰められている弾薬(散弾)を使用し、発砲すると弾粒が散り広がって広範囲で狙うことのできる猟銃です。最大有効射程40~100mほどといわれており、比較的近距離で獲物を狙います。

鳥類や小動物を狙う場合は散弾を用い、シカやイノシシ、クマなどの大型動物はスラッグ弾等を用いることが一般的です。ライフル銃に関しては、銃身内で回転しながら発射(ライフリング)するため、飛距離の最大到達距離は約4㎞とも言われます。ライフルを使用する場合はスコープを用いて狙いを定め、遠距離でも仕留めることのできる銃器となっています。

②空気銃

空気銃は、その名の通り空気やガスの圧力を利用して発射する銃器です。小さいころにBB弾で遊んだ思い出のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。もちろん、この記事で紹介する空気銃はそのような玩具とは全く違い、殺傷能力を持っているため、装薬銃と同様に使用許可が必要です。飛距離は銃器の中でも最も短く、最大有効射程は約30mほどと言われており、鳥類や小動物の捕獲に用いられます。

銃を使用した捕獲方法

①グループ猟(巻狩り猟)

グループ猟は複数の猟師が獲物のいる山などを囲い、猟犬を使って捕獲する猟法です。仕留める獲物は主にシカやイノシシとなるので、空気銃ではなく散弾銃やライフル銃を使って捕獲します。

獲物を追い立てる「勢子(せこ)」と追い立てられた獲物を仕留める「マチ(タツマ)」、そして当日の進行予定や人員配置、安全な巻き狩りを行うための注意や連絡などを中心になって行う「リーダー(隊長)」で構成され、獲物を追い立てる猟犬の鳴き声や、無線機で実況のやり取りを行うなど、狩猟の臨場感を最も味わえる猟法といえるかもしれません。

②単独猟(しのび猟)

単独猟はその名の通り、一人で行う猟法です。山の中を息をひそめながら静かに歩き、気配を消しながら獲物を探ります。ゆっくりと獲物との距離を縮めたり、けもの道で待ち伏せしたりと方法は様々です。中には猟犬と一緒に入り、猟犬の動きや合図で獲物の場所を特定し仕留めるといった高度な方法もあります。

もちろん、単独猟は簡単なものではありません。頼る仲間がいないので、入る山の地形をしっかりと読み込み、当日の天候なども予想し、万一の事態にも備えなければいけません。銃猟免許を取得したからといって経験を積まずに単独猟を行うのはやめておきましょう。

まずは熟練の先輩猟師と共に山に入り、しっかりと経験を積んでから挑戦するのがよいでしょう。

ジビエに向いている捕獲方法とは

ここまでの説明のように、野生動物を捕獲するための方法や使用する猟具は様々で、捕獲したい場所や動物によって猟具を選択するのが一般的です。では、ジビエとして美味しくいただくための最適な捕獲はどの方法が適切なのでしょうか。ここではジビエの基本となる考え方を解説していきます。

余計なストレスを与えない

獲物の肉質は、捕獲時のストレスの度合いで大きく変わります。最もストレスを与えない捕獲方法は、獲物に気づかれないように一発でバイタルゾーン(致命傷に至りやすい、脳や首など)を狙い撃つことです。腹部を撃ってしまうと内臓や排せつ物などが破裂し、食べられなくなってしまうので要注意です。地形が広く見晴らしの良い北海道などではこのような銃による捕獲が主流となっています。

一方、わなで捕獲する場合は、わなにかかってから速やかに止め刺しを行うことが大切です。わなにかかっているのに長時間放置したり、止め刺しに時間をかけすぎて不安や痛みを与えすぎると、肉質に影響します。また、獲物がわなに長時間かかっていると、疲弊し括りつけられた部分から傷が広がり損傷も激しくなります。わなで捕獲する際は毎朝わなの見回りをし、止め刺しのスキルアップを行うことが大切です。捕獲時にストレスを与えない捕獲を心掛けて下さい。

捕獲の方法は銃器でも、どの様なわなを使うのが適切かは、捕獲場所の環境や状況、技量に合わせて選ぶことが重要です。また、農林水産省ではジビエを食肉としての活用を推進するため、衛生管理および安全な捕獲に関する知識を持ったジビエハンターを育てるため「ジビエハンター基礎研修会」も開催しています。今後は研修会だけではなく、「ジビエハンター認証制度」も立ち上げる計画もあるため、ジビエ業界のこれからの動きに注目です。

おわりに

このように、ジビエハンターの捕獲方法は、適切な捕獲方法を選択し、すばやく処理できるといったハンターの技量によって決まります。さらにジビエという食材の調達を目的とした捕獲方法は、美味しいジビエとなるだけでなく、捕獲時の時間や環境を落ち着いて整えることができるため、安心かつ衛生的であるといわれているのです。

ジビエハンターは、「獲物を食資源として捉え、かつ安心安全なジビエ文化を普及させることに強い意欲を持って活動する猟師」を指します。捕獲に対する正しい知識を持ち、すばやい状況判断を行えることができる「技量」がジビエハンターとして大切なスキルとなります。ジビエハンターが捕獲するときの心得として、*アニマルウェルフェアの遵守、安心安全な環境の整備が鉄則となっています。この考えに則って行動することを心掛けましょう。

アニマルウェルフェアとは…「動物の生活とその死に関わる環境と関連する動物の身体的・心的状態」と国際獣疫事務局(OIE)によって定義されており、家畜を快適な環境下で飼養することにより、家畜のストレスや疫病を減らすことが重要とであるとされています。定義では家畜が主とされていますが、ジビエにおいても同様に、捕獲する際の野生動物の身体的、心的状態に無駄なストレスを与えないことが重要とされています。

以上、今回の記事では様々は狩猟方法とジビエハンターとして推奨する捕獲方法について解説していきました。捕獲にも色々な方法がある中で、狩猟の目的、自分に合った環境、捕まえたい獲物など、総合的に考えて必要な免許を取得し技を磨くことで、美味しいジビエに出会える日もそう遠くはないかもしれませんよ!

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