ジビエハンターになるには? 普通の猟師との違いを説明します。

「ジビエハンター」という言葉を聞いたことがありますか?
一般的な言葉ではありませんが、徐々に浸透してきています。この記事では、ジビエハンターについて詳しく解説します。

目次

ジビエハンターとは

ジビエハンターの定義

ジビエハンターになるには、まず猟師であることが前提です。
猟師とは、鹿や猪、野兎や鴨といった野生動物を狩ることができる人を指します。

もちろん猟師になる目的も人それぞれ。趣味やハンティングスポーツとして始める人もたくさんいます。また、近年では農作物被害の防止のため、有害鳥獣として指定された野生動物を駆除し、里山の環境や生態系を維持するために猟師になる人も少なくありません。

そんな中でジビエハンターとは、

獲物を「食材」として捉えて狩りをする猟師のことを指します。これから捕獲する動物が人の口に入ることを意識することで、できるだけ肉を傷つけず、衛生的に処理するにはどうすればよいのか、また誰の口に入っても安全な食材として捕獲するには、どんな道具や知識が必要なのかといった、普通の猟師では考えないような狩猟行為の前後まで考える

という点が、特徴的と言えます。

一般の猟師と何が違うのか

私たちが普段当たり前のように食べているお米や野菜の生産地は、人の手と自然が共存するいわゆる「里山」と呼ばれ、人と野生動物の棲み分けとなる境界線の役目を果たしてくれていました。しかし近年、少子化や都市部への人口流出により里山の過疎化が進み、野生動物の住める場所がどんどん広がり、家族が増えた動物たちが食べ物を求め里山に下り、農作物を食い荒らすという問題が発生しています。

国はこれ以上の被害を出さないため、そういった動物を「有害鳥獣」として指定し、捕獲することで報奨金がもらえる制度を整えました。これは雑に捕獲しても丁寧に捕獲してももらえる金額は同じであるため、できるだけ多く捕獲することを目的とする猟師が増え、結果、安全かつ衛生的な捕獲方法にまで手が回らず、一般に肉が流通することなく猟師の中で消費するか、廃棄するといった悲しい現実がありました。

ジビエハンターはそういった里山の保全に加えて、獲物を食資源として捉え、かつ安心安全なジビエ文化の普及に強い意欲を持って活動するハンターであることが、一般の猟師とジビエハンターの大きな違いになります。

ジビエハンターの狩猟方法

一般に猟師と聞くと猟犬と猟銃で狩りをするイメージが強いかもしれませんが、ジビエハンターの捕獲方法は「わな猟」を推奨しています。その理由は大きく分けて5つあります。

①食べられる部分をより多くするため

猟銃での捕獲は、被弾した箇所の損傷が激しく、劣化も早くなりおいしく食べられる部分が減ってしまいます。わな猟であれば傷の損傷を最小限に抑え、捕獲した肉をジビエとして余すことなくいただけます。

②獲物に負担をかけず、良い肉質を手に入れるため

猟犬を使って獲物を追う方法は、過度なストレスや体温の上昇により肉質を低下させてしまう可能性があります。また銃猟においても走る獲物を一発で仕留めるのは至難の業。獲物にできるだけ痛みやストレスを与えないためにも、わな猟で確実に捕獲することが大切です。

③安全に作業を行うため

おいしいジビエへの第一歩は生け捕りです。生きた獲物の行動は予測不可能であり、焦って止め刺しをすると、正確にさせなかったり自分の身にも危険が及んだりする可能性があります。わなで捕獲することで獲物の動きを止め、安全に落ち着いて作業できます。

④放血作業をしっかりと行い、おいしいいジビエにするため

捕獲し止め刺しができたら、すばやく放血作業に入ります。ここでしっかりと血を出しておかなければおいしいジビエにすることはまずできません。わなで捕獲しさらに電気ショックを活用することで、獲物の動きをとめ、安全に放血作業を行うことができます。

⑤効率が良い

銃猟は、日の出から日の入りまでと使用時間が制限されていますが、わなは仕掛けておけば24時間作動できるため効率よく捕獲することができます。また、田畑の周りに仕掛けておけば捕獲することで農作物被害も防げるため、一石二鳥です。

ジビエハンターになるには

ジビエハンターになるには、まず狩猟免許を取得することが第一歩。ここではジビエハンターになるまでのステップと必要な心構えをご紹介します。

ジビエハンターへのステップ

ステップ① 狩猟免許を取得しよう!

狩猟免許には「わな猟免許」「銃猟免許」「網猟免許」の三種類あります。住民票を置く都道府県ごとの猟友会が開催する狩猟試験に申し込み、取得したい免許の試験を受けましょう。ジビエハンターになるにはわな猟は必須です。

ステップ② メンターを見つけよう!

狩猟を始めるときにまず見つけておきたいのは、狩猟に関する情報やヒントを与えてくれるメンターの存在です。いつどんな手続きが必要で、どこで猟ができるのか、誰が教えてくれるのか、どんな猟具を揃えれば良いかなど、知りたい情報は山ほどあります。狩猟をしたい地域の猟友会の他にも事業認定団体、射撃場、銃砲店などで見つけることができます。積極的に問い合わせをしてみましょう。

ステップ③ 狩猟のルール・マナーを知ろう!

免許を取得してもすぐに狩猟が行えるわけではありません。まずは狩猟期間が始まる前に狩猟税・登録申請手数料を支払う必要があります。また、都道府県ごとに決められた狩猟期間や捕獲できる獲物の種類、エリアなどもあるため、事前に確認しておきましょう。

ステップ④ 道具を揃えよう

オレンジのベストや帽子は、山の中での事故を防ぐために派手な色となっています。このほかにも揃える防寒具やシューズなども明るい色を選ぶことをおすすめします。猟具などはインターネットも購入できるので、先輩猟師さんに相談して自分に合ったものを選びましょう。

ジビエハンターの心構え

狩猟免許を取得し猟師になれたら、いよいよジビエハンターとしての活動開始です。ただ捕獲できればいいというわけにはいきません。ジビエハンターとして狩猟を行うにはそれ相応の心構えと努力が必要です。ここでは、基本的な心構えをご紹介します。

心構え① 獲物を常に食肉として捉える「視点」を持つ

食べる時だけでなく、捕獲するところから獲物を食肉として捉えることがジビエハンターには不可欠な視点です。食材として獲物を見ることで捕獲方法も大きく変わってきます。

心構え② 自分で捕獲し衛生的にさばく「技術」を磨く

捕獲し解体する工程はおいしいジビエにするための最も重要な作業となります。どんな状況でも最も衛生的にすばやく解体できる技術と判断力を養うための努力が必要です。

心構え③ 食の安全について判断できる「知識」を学ぶ

ジビエは家畜と違い、どんなエサを食べていたのか、どんな生活を送っていたのか判断することが難しい食材です。そのためにもきちんとした下処理や調理方法を学ばなければなりません。

心構え④ 獲物に対する「敬意」を忘れない

獲物も私たち人間と同じように、命を持っています。必要以上に負担をかけたり、痛みを与えたりすることは人道的に問題のある行為です。命をいただくことを決して忘れてはいけません。

最後に

今回のブログでは、ジビエハンターになるための基本的な流れをご紹介しました。狩猟技術を得るには実践あるのみ!猟友会や猟具店、各都道府県の担当部署に積極的に問い合わせて情報を取得し、猟師の知り合いを作ることが大切です。

また、下記のリンクからご紹介する書籍「ジビエハンターガイドブック」では、より詳しい内容をわかりやすい説明とともに写真や動画付きでご紹介しています。猟師になったけどさばき方がわからない、知り合いに猟師がいないといった方におススメです。

ジビエハンターのいろはが盛り込まれた専門書となっていますので、ぜひこの機会にチェックしてみてはいかがでしょうか。

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